エッセイ

元グラビアアイドルと『市民プール』へ行ったら【面白いエッセイ】

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この記事は2020年8月6日にアップされたものの再掲載です

2020年、今年の夏は長い長い梅雨だった。

思い起こせば、2年前の夏は6月中に梅雨明けしてしまい、灼熱地獄と呼ぶにふさわしいほどの猛暑に見舞われ、夏が大好きな私もさすがに耐えきれず、もういいよ、そろそろ涼しくしてくれよ・・・と泣き言を漏らしていたことを思い出す。

それに比べ今年の夏は、7月後半になっても永遠に降り続ける雨で地球はだいぶクールダウンされていたが、逆にこうもいつまでもいつまでも雨が降り続けると、体調もメンタルもすっかりガタガタになってしまい、呪文のように「早く梅雨あけてくれ!!」と唱え続ける日々を過ごすこととなった。

暑ければ暑すぎると文句を言い、雨が降り続ければいい加減に梅雨明けろ!と文句を言う。

そして無事梅雨が明け数日経過、私は今日「くそ暑い」と何度連呼したことであろう。

「くそ暑い、くそ暑い(怒)プールに飛び込みたい・・・」等ブツブツ不平を言いながら、
ふと、今年はコロナの影響でもしかしてプールの営業の中止なのでは?と思い調べてみると、案の定、地元のプールは今年の営業は中止となってしまっているようだ。

夏なのに、プールに入れないなんて・・・。
コロナ渦真っただ中の現在、仕方ないことではあるが、なんとも複雑な心境である。

そんなことを考えて市民プールのサイトを眺めているうちに、若いころ“元グラビアアイドル”と一緒に市民プールへ行った時のことを久しぶりに思い出した。

彼女は、20代前半に私が働いていたアパレルショップの、同じフロアにあったアクセサリーショップの店長をしていた。元グラビアアイドルというだけあって、ショップに立っている彼女は洋服の上からでも爆乳と一目で認定できるほどのプロポーションであり、貧乳で悩む私にはよだれが出るほど羨ましいスタイルであった。

以前は写真集なども出していたこの彼女とは、度々一緒に休憩に入ったりして話をしていたのだが、ひょんなことから、休みが同じ日に一緒にプール行こうよ!と盛り上がり、都内に住んでいた彼女がわざわざ私の住んでいた埼玉の片田舎まで出向いてくれたのだ。

約束の当日、市民プール入り口で入場券を購入すると、一緒に更衣室に向かい、それぞれ水着に着替えた。

そしてその日、初めて“元グラビアアイドル”の生の水着姿を目の当たりにした私は、彼女のあまりの胸の大きさに衝撃で言葉を失い、思わず『わ〜お!!!』などと、アメリカのB級映画に欠かせないヘタな役者のようなリアクションをとってしまったのであった。

なんちゅう大きさなんだッ!!
(゚〇゚ ;)!!!!

軽く私の胸20個分くらいの大きさはあるのではないか。

驚愕のあまり、“キティちゃんの身長リンゴ5個分”のように“私の胸20個分”などとわかりにくい表現しか浮かんで来なかったほど、元グラビアアイドルのお胸は動揺を隠しきれない衝撃の大きさであった。

そんな彼女が田舎の市民プールに現れたのだから当然現場は騒然となった。

私もちょっと気を抜くと間違って彼女でなくこの存在感のあるおっぱいに向かって話かけそうになるため、慌てて気を引き締めた。

まわりからの彼女の胸への視線を痛いほど感じながらも、しばらくの間、プールサイドで日焼けをしたり、流れるプールで泳いだりと楽しんだ。そしてそろそろ、ちょっと休憩しようか?という話になり、私は彼女と一緒に売店に向かった。

余談だが、プールの売店で食べるラーメンやかき氷はなんであんなに美味しいのだろう。
きっと屋内で食べればそれほどでもないラーメンとそれほどでもないかき氷なのだろうが、プールの売店で食べるそれは2倍以上に美味しさがアップする魔法がかかっている気がする。これぞプールマジックである。

夏のプールの売店は高校生くらいのアルバイトの男の子たちがたくさん働いていた。
真っ黒に日焼けしたアルバイトの男の子たちはせっせと注文をとったり、出来上がったラーメンやドリンクを出したり、なかなか忙しそうであった。

私たちの前には何人かのお客さんが並んでいたが、てきぱき動くバイト君のおかげで順調に列は進み、ほどなくして私たちの順番が回ってきた。

アルバイトの男の子は顔を上げることなく、「お次の方、ご注文どうぞ」とぶっきらぼうに言った。元グラビアアイドルの彼女が「ラーメンとフライドポテト」と注文すると、アルバイトの男の子は愛想無く売店の奥を振り返ると「ラーメンとフライドポテト」とオーダーを伝えた。

そして売店の奥からこちらへ視線を戻したその瞬間、彼は、私が現実の世界で初めて目撃したレベルのエクセレントな二度見で、彼女の胸に目が釘づけになり、カッと目を見開いていた。

そりゃそうなるよな
あらかじめ知っててもなるんだもの
みつを

私はそんなことをぼんやり考えながら、元グラビアアイドルの彼女をそっと見守っていた。

こんな素晴らしい“二度見”は、例え志村けんに弟子入りしたとしてもなかなか習得できるものではない。本当に驚きで心が動いてこそ、素晴らしい二度見が生まれるのだということをその時身をもって知った。

彼女はそのような男性陣の視線を受けることに慣れているのか、全く無表情のまま注文したメニューのお支払いを済ませていた。

その後もプールサイドを歩くだけですれ違いざまに男性も女性も彼女の胸に振り向き、ガン見してはヒソヒソ・・・いう状況が一日中続いた。

ちょっと油断すると一緒にプールに来ている私でさえ、突然はしゃいで背泳ぎを始めた彼女の姿を見て、水面(みなも)に浮かぶ巨大な二つのお胸が、背泳ぎに合わせて別の生き物のようにプルプルと揺れながら移動していく様に、一瞬本気でUMA(未確認生物)かと勘違いし、虫取り網を探しに走りだしそうになったほどである。

そして、その日の夕方までに私は、ここまで注目を浴びるレベルの爆乳って実はかなりストレスなのではないか?と感じ始めていた。

私の胸がいくら貧乳でも世間の人々から二度見で確認されるなんてことはないし
すれ違う人達が口々に「うわ!すげー貧乳!」などとコメントしながら注目してくることもない。

簡単に言えば、貧乳などひたすら興味を持たれないだけである。

ただ爆乳の彼女の隣に一日いただけで、なんだかその日ものすごく人の視線を感じ、気疲れをしてしまった私がいた。

私は貧乳がゆえ、巨乳に憧れてはいるけれど・・・でもあんな爆乳じゃなくていいかな・・・。

せいぜい今の私の胸10個分くらいでいいな。

・・・などと、“胸2個分”も叶えられないくせに、えらそうな上から目線で実現もしない理想を妄想した、「元グラビアアイドルと市民プールに行ったあの日の衝撃的な思い出であった。

ABOUT ME
富岡紗和子
神奈川県湘南在住、占い師(帝王命術売占い鑑定師・四柱推命鑑定師)ラジオパーソナリティ・エッセイ作家・法人役員(役員暦24年)の富岡紗和子です。 現在、二人の娘を持つ母でありサーフィンとビールをこよなく愛するアラフィフ女子です♪ ⇒ ⇒ 詳しいプロフィールはこちら

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