体がこわばるほど冷え込んでいた毎日が、ここ数日めっきり緩み、日中はポカポカと暖かさを感じるようになってきた。朝晩はやはり冷えるが、暖かい春はもう目の前だ。そう思うとテンションが上がる。
冬の間、寒すぎてあまり開けたくなかった窓を開けて外を眺めてみると、ホワッとした日差しを感じ嬉しくなった。
私には、この時期になるといつも思い出すある出来事がある。
それは数年前、家庭菜園に植えたミントにまつわるエトセトラだ。
ある年、私はホームセンターでミントの苗を見つけ、『ミントのある生活』なるものを想像した。
すると、とんでもなく素敵なイメージがフツフツ沸いたため、早速そのミントの苗を購入し、庭に植えた。
無くてもいいけど、あったらちょっと素敵。
使いたい時、わざわざ買いに行くんじゃなくて、庭でちょっと摘んでくるミント。
食後、デザートのお皿にさりげなくミントを添える。
そんなイメージだ。
ある暖かい春の日、私は庭のテーブルでマフィンとミントティーを楽しもう💡と思い立った。
ミントティーと言っても、適当にTパックで入れた紅茶に、ミントの葉を数枚投入しただけなのだが、香り立つミントに一気に気分がブチ上がった。
自宅の庭で、マフィンとミントティーを頂くなんて😭💖
優雅だ。
実に優雅だ。
まるで自分がヨーロッパの貴婦人になった気分だ。
これはもう、羽根のついた貴婦人ぽいハットでも被った方がいいかもしれない。あとでAmazonで検索してみようか。
‥‥冷静に考えれば、
マフィンもミントティーもヨーロッパに関係ない気がするが、そんなことはどうでも良い。
大切なのはイメージと気分だ。
そうどっぷりと貴婦人気分に浸りながら、ふとミントの葉を見ると、なにやら葉の裏側に緑色の点々が付着しているのが目についた。
なんだろう、この点々は‥‥
そう思ってよく目をこらして葉の裏側を観察した私は、腰を抜かしそうになった。
この点々、
全部アブラムシやないかいっ😱‼️‼️
私はアブラムシエキスの溶け込んだミントティーを、たった今、優雅にたしなんでいたのか😭⁉️
おぇーー🤮
ペッペッ‼️😭
アブラムシティー‥‥🤮
おぇっ←(あと引いてる)
慌てて畑のミントを確認すると、どの葉も裏側にアブラムシがどっさりへばりついていた。どおりで、ちょっと洗ったくらいでは取れないはずだ。
青ざめた私は、慌てて家庭菜園からミントを引っこ抜いたのであった。
が、しばらくたち、気づくと抜いたはずのところに再びミントが生えている。
『またお前かよ💢』
私は再度ミントを引っこ抜いて、捨てた。
しかし、またまた数日後
家庭菜園を見に行くとひょっこり生えているミント。
その後も、何度も何度も抜いているというのに、
何度も何度も生えてくるミントに段々腹が立ってきた私は、
ミントを見つけ次第乱暴に引き抜くと
オラァ‼️💢っと
室伏浩二もヒクほどの回転と共に放り投げるという、
到底貴婦人とは呼べない振る舞いを繰り返す事となった。
そしてある日、
とうとう私はそんな戦いの日々にピリオドを打つべく、家庭菜園のミントゾーンの土を思い切りめちゃくちゃに掘り返すと
『今日という今日は
完全に根っこから粉砕してやったわ。
あんたも、もう終わりだよ‼️🖕』
と、畑で捨て台詞を吐いてやった。
いくらあんたの生命力が強かろうと、人間様には敵わないんだよ‼️思い知るんだね‼️
ところが数日後、
植えていたのと全く別の場所からひょっこり生えているミントを見つけた時には
頭にカッと血がのぼるのを感じた。
ドリフのコントか‼️💢
あっちでやっつけてやったのに
こっちからひょっこりって、
ドリフのコントか‼️‼️😭
ぶち切れながらミントを引っこ抜く私。
もう勘弁して欲しい。
これはもはや、ミントの呪いだ。
私はただ、庭で優雅な時間を過ごしたいと思っただけなのに。
抜いても抜いても生えてくるミントとの熾烈な戦いにより、気付けば私は優雅の対局に送り込まれているではないか😭
改めて検索してみると、ミントはやはり半端ない生命力なのだそうだ。
『一度植えたら終わり』などと、ホラー映画のタイトルのようなことが書いてある記事さえあった。
紅茶にミントを入れただけで貴婦人の気分になれるという、『病的安上がり思考』があだとなり、ミントとの終わりなき戦いというとんでもない罠に陥った、暖かくなってくるこの時期必ず思い出す、〝アブラムシミントティー事件〟であった。