気付けば子供たち春休みも終わり新年度が始まった。
一年はなんて早いのだろう。
特に、昨年の初めはコロナウイルスの突然の感染拡大により休校が決まり、ほとんど学校に行かない日々を過ごしていたため余計に1年間が早く感じる。
四月になり我が家の娘たちは小学5年生と小学3年生にそれぞれ進級した。
最近めっきり生意気になってきた長女と私は、ぶつかることも増えてきたが、お年頃としてはもう仕方がない時期なのかもしれないな・・・などと半ば諦めの境地で日々接している。
そんな中、今日たまたま用事で娘たちの通っていた保育園の横を通りかかると、保育園児が園庭でそろって徒競走をしていたようで、園児たちがかわいい声で一斉に『がんばれ〜!』とお友達を応援するのが聞こえた。
そのかわいい『がんばれ〜!』の合唱を聞いていたら、うちの子供たちもあんな時期があったよなぁ・・・懐かしいなぁ〜と気持ちが暖かくなるのを感じ、懐かしい気持ちでいっぱいになった。
それと同時に、長女が保育園の頃の、とある一連の不可解な行動を思い出したのである。
今でこそ宿題が終わると毎日ゲームばかりしている長女であるが、保育園の頃はお人形で遊ぶのがとても好きであった。
その時期の女の子というのはまぁ、たいがいお人形遊びは好きなものだと思うが、我が家の長女はなぜか当時「お人形を縛る」ということに特化した遊びにハマっていたのだ。
当時、子供たちのおもちゃが入っている棚を整理していると、ヒモでグルグル巻きにされたバービーちゃんのお人形がポロリと転がり落ちてきて、主人と顔を見合わせて青ざめた記憶がある。
なんでおままごとで遊ぶのではなくて、お人形を縛り上げてしまうのか?
私は到底理解できなかったのだが、なにか今の長女はお人形を縛り上げることに魅力を感じるのだろうと、特別それをやめさせる気はなく、自由にやらせていた。
ところが長女はお人形を縛ることに情熱をかたむけるだけでは飽き足らず、ある日、あろうことか数名の保育園のママ友が子供を連れて我が家に遊びにきたタイミングで、何故か全裸の自分を浴衣の帯で縛りあげて登場するというゲリラショーをやってのけたのである。
その姿はまさに亀甲しばりと呼ばれる大人のたしなみを連想させる、いやそれしか連想させない姿であった。
当然、現場は一気に沸いた。
ママ友の皆は爆笑しながら口々に『これさわちゃんが夜やってるんでしょーー!!絶対やってるよね?ね!?さわちゃん!!』と、
もはや“疑い”ではなく“確認作業”として質問し始めたのだ。
とんでもない!!
マジでやってないから!!
と慌てて否定するも、『見たこと無かったら子供が絶対やらないから(笑)』と私の全力の訴えは棄却され、不覚にも私は夜な夜な“亀甲しばりにいそしんでいる人”というレッテルをはられることとなったのである。
あの時だれも聞いてくれなかったので、改めてここで主張するが私はそのようなたしなみなど全く興味がない。まさに『冤罪』である。
とまあ、ここまでの必死の訴えで、私が決して夜な夜な“亀甲しばりにいそしんでいる人”ではないということはご理解いただけたかと思うが、私にも大変反省しなければいけない出来事が以前に一つあった。
まだ幼かった子供たちとお風呂に入った際、ついつい自分が幼少期に好きだったドリフのお風呂コント(ドリフのメンバーが縄の両端を持っていかりや長介の股間をあらうコント)を再現してしまい、その後、娘たちがお風呂のたびに毎回細長いナイロンタオルで、そのコントと同じ洗い方をするようになってしまったことがあったのだ。
そんな子供たちを見た主人から、教えて良いこと悪いことについて厳重注意を受けたという過去があるため、子供の前での親の言動というのは本当に気をつけなければいけないと身をもって感じている。真似されては困ることに限って喜んで真似するのが子供という生き物なのである。
あの亀甲しばり赤っ恥事件からすでに5年以上の月日がたち、今ではそんな格好で人前に登場することなど絶対にあり得ないクールな長女が、私の問いかけに毎回早口で生意気に返事をするのを聞いていると『いつのまにか大人になっちゃってるんだなぁ(泣)』と、成長の喜びとともに一抹の淋しさを感じる今日この頃である。
そんな中、つい先日、小学3年生になった次女が私の不在中に自宅で『いやーん!オッパイを触らないでー!!』などと発言して喜んでいるのを主人が目撃し、慌てて『だれに教わってそんなこと言っているんだ』と問い詰めたところ、次女は滑舌よく『ママ』と返事をしたそうである。
主人から『そんなこと教えたのか!』とあきれ顔で問われた私は、教えてねえよ!!と、もうほとんど門野卓三じゃねえよ!の勢いで、またしてもあられのない容疑を必死に否定する羽目になったのであった。今回に至っては子供がこんなことを言うなんて『きっとママが言っていたに違いない』という“予測”の範囲を超え、次女本人が『ママに教わった』と名言しているのだから本当にタチが悪い。
まだ当分はこの次女が火の無いところに煙を立て、ある日突然、予測不能な赤っ恥をかかせてくれる可能性を存分に残している。いつ襲ってくるかわからない次の濡れ衣に備え、気を引き締める私なのであった。