今回の新型コロナウイルス感染症の流行により、医療従事者に感謝を表明する声が多く上がっている。
今回のような未知のウイルスにより自らも危険にさらされながら患者の治療にあたってくれるのだから、特に、感染し完治した方たちから感謝の言葉が多く気かれるのは当然のことだと思う。
私は腹以外はわりと体は丈夫なほうだが、それでも思い起こしてみると、体調を崩して病院に駆け込んだことがかつて何度もあった。辛い時に親切に対応してもらったことは、強く心に残るものだ。
若いころ、夜中に胃痙攣を起こし耐え難い胃痛に襲われ、大学病院の夜間診療に訪れた時には、とても丁寧でやさしい中年男性医師に診察してもらい、点滴を受けて痛みも治まりとても感謝したのを覚えている。
痛みに七転八倒していた若かりし日の私に付き添いできてくれた私の母は、やさしい男性医師にすっかり目がハートになり、私以上に男性医師に感謝した上、「ああいう人に結婚してもらったらいい」などと、熱くなり出してしまった。
そんなふうに思う気持ちもわからなくもないが、自分の娘の実力も顧みず思考を暴走させる単純すぎる母を、深夜の病院のベッドに横たわりながら心底面倒に感じたことを思いだす。
それにしても、具合が急に我慢できないほど悪くなる時というのはなぜ夜中が多いのだろう。
日中からちょっと具合が悪いなと感じていても、まだ耐えられる程度だったのに、夜中に目が覚めたら急にひどくなっていたということが過去に何度かある。
気になって調べてみると、夜中に具合が悪くなる傾向にあることは医学的にも証明されている事実らしい。
あれは10年ほど前のある冬のこと。
その日の夜中、私は自分のゼ―ゼ―という呼吸の音で目が覚めた。
日中から少し熱っぽかったが、寝ている間に一気に熱がグン!と上がってしまったようで、自分の吐く息が熱いという状態だった。
あまりにも辛いので、念のため夜間診療を受け付けてくれる病院に電話をして診てもらうことにした。
受付をして、看護師さんに診察室に通され「今、先生が来ますので座って少しお待ちください」と言われたため、言われた通りに椅子に座って待っていた。
体が熱すぎて倒れそうだ。こんなにやばい熱って何年振りだろう?もう沸騰寸前だ・・・。
早く先生来てくれないかなぁ・・
グッタリしながらそんなことを考え、医師が診察室に入ってくるのを待っていた。
その時だ。「お待たせしました」と登場した医師は、私の方をみると八ッ!!とした顔になり「そこ私の席なんですけど!」と強めの口調で宣言した。
え!?
そう言われてよく見ると、患者である私は診察室内で医師の座るべき方の椅子にどっかりと腰を下ろし、診察する側の医師の登場を迎えるというおかしな状況を作り上げていたのだ。
うわ・・・なんで気づかなかったんだろう・・(恥)
猛烈な恥ずかしさと高熱でクラクラする。
いや、しかし・・・。先生も高熱でフラフラしてる人をそんなにピシャリと切り捨てなくてもいいのではないか。
優しさを感じさせないシャープなツッコミをする医師に、なにか逆切れに近い気持ちが浮かんでくる。
そもそも自分が座る場所を間違ったからいけないだけ!と言われればそれまでなのだが・・・。
私は気恥かしさをかき消すように
『へへへ・・サーセン・・(照)』などと力無くつぶやきながらなんとか患者用の椅子に移動した。
高熱でちょっと声もモザイクがかったようでおかしい。
なんとなく紙兎ロペのアキラ先輩のような語り口になってしまった自分に気付き、さらに熱が上がった気がした。
ところで、辛い時に親切に対応してもらったことは、強く心に残るものであるのと同じく、辛い時に心無い対応されたことというのはさらに強く心に残る。
先日ツイッターのタイムラインを見ていたら、ある方のツイートが目にとまった。
その内容というのは、“ノロウイルスによる嘔吐と下痢に二日間耐え、仕方なく病院へ行ったら散々待たされた挙句、医師から「触診でもうつることがあるから本当は触りたくないんですよね〜」などとバイキン扱いともとれる対応をされた”というものだった。
それは・・・キツイ。
医師のほうも人間だし、素直にそう思ってしまったのだろうけど
苦しんでいる人にそのまんま自分の思っていることをストレートに伝えて良いわけではないのだ。こんな経験をしては医師不信になっても仕方がないだろう。
医師不信といえば、私の中ですぐに思い浮かぶ医師が一人いる。
もうかなり年数も経っているがあまりの衝撃で強烈に心に残っている人物、
その名も『とにかく尻が見たいH田』である。
このブログでは繰り返しお伝えしているが、私は20年近く前から、過敏性腸症候群(IBS)を患っている。
IBSとは、 血液検査や大腸内視鏡検査などで腸に異常が認められないにもかかわらず下痢や便秘を慢性的にくりかえす疾患 であり、私の場合はメインが下痢で展開される通称“下痢型”だ。
この病気は治らないと私の中では諦めているので、なにも完治を求めて病院へ行くことはないのだが、外出時にとりあえず持っていたい気休めの下痢止めや整腸剤などは定期的に処方してもらっている。
かつて通っていた病院はその時の職場に近い場所だったため、職場が変わりその病院へ通うのが不便に感じた私は自宅から近かったある病院を訪ねてみた。
当時はまだIBS歴10年目くらいだったと思うが、私は医師に自分のIBSの歴がすでに長いことを告げた上で、整腸剤や下痢止めを処方してもらいたいと伝えた。
するとこの医師は、そんなに長いこと下痢をしているならば、肛門からカメラを入れて腸の検査をする必要があると言いだしたのだ。
いやいや・・
そういう段階はとっくに終わっていて、長年安定のIBSでやらしてもらってるんです・・・
何の異常も無いのに永遠に下痢してるから過敏性腸症候群(IBS)と何度も診断されてるんです・・・と私が説明すると、彼は肛門からカメラを入れて腸の検査をすることをすんなり承諾しない私にあからさまに苛立ち始めたのだ。
こんな私だって、かつては答えを求めていくつもの病院を回ってきたのだ。そして毎回どの病院でも過敏性腸症候群(IBS)と診断されてきた。
今回、私は今さら病名や原因を突き止めたくてやってきたのではなく、単に気休めの薬が欲しかっただけなのである。
しかしそうは言っても、医師の立場からして改めて肛門からカメラを入れて腸の検査をしなければいけない。という意向なのであれば、そのように落ち着いて説明をしていただければ、検査を承諾する承諾しないは別として、『医師の意見』として素直に聞くことはできる。
しかしその医師はその説明もせずに【肛門からカメラを入れての腸の検査を快諾しない私】に頬をヒクつかせながらイライラしだし、こともあろうにガクガクと貧乏ゆすりまで始めたのだ。激しすぎる貧乏ゆすりで机に足が当たってしまっている。
うわぁ!!!
なんだこいつ!?(怖)
毎日ほぼお年寄りしか来ないこの病院に、せっかく腸の悪い若い女がやって来たっつーのにすんなり尻が見れないなんて許すまじ!!
俺は医者なんだ!!医者が言ってるんだから早く尻を出せーーー!!!キーーーーー!!
ってか!!
キモ!!!!!
コント並みにガクガク揺れているその医師の名札を、私はまじまじとのぞき込んだ。
そして『H田か・・・とにかく尻が見たいH田だな』と脳に焼き付けたのであった。
H田の外見は体型も含めサンボマスターのボーカルにかなり似ていた。
サンボマスターにはなんの罪もないが、『とにかく尻が見たいH田』のせいであの日以来、
ちょっぴりサンボマスター風の男性を見かけると、
「あなたもとにかく尻が見たいんじゃないでしょうね?」などと心の中で失礼な問いかけをしてしまう私がいるのである。とんだ二次被害だ。
今頃『とにかく尻が見たいH田』は、『とにかく尻が見たい欲』に身をゆだね、ただの頭痛や風邪でやってきた若い女性にまで、肛門からカメラを入れて腸の検査をする必要があるなどと持ちかけているのではないだろうか?そんな疑いを本気で抱くほど気色の悪い男であった。
新型コロナウイルスにより自らも危険にさらされながら患者の治療にあたっている素晴らしい医療従事者に対しては、心の底から尊敬と感謝を申し上げたいが、誰がなんと言おうと『とにかく尻が見たいH田』だけはとにかく尻が見たいだけだったと、ここに改めて断言したいと思う。
今後、また何かのことで新たに病院にお世話になるようなこともあるかと思うが、そんな時にはぜひ親切で優しいお医者さんに巡り合いたい。そう願ってやまない私である。