とある休日の午後、私は片づけなければならない作業があり2階にこもっていたのだが、下で子供たちがひまを持て余しているようなので、強風で庭に溜まった落ち葉の掃除を頼んだ。
子供たちに1枚づつゴミ袋を持たせ、「頑張った人にはお小遣いかな!」と、やる気をあおった。
しばらくしてから、2階の窓から子供たちの様子をうかがうと長女は落ち葉の多いゾーンにしゃがんで、黙々とゴミ袋に落ち葉を集めている。次女は、その後ろでゴミ袋を片手にウロウロ歩き回るだけで一向に落ち葉ひろいを始める気配がない。
まあ、想定の範囲内である。
頑張った長女にはお小遣い上げようかな、などと思いながら
私も自分の作業に戻った。
しばらくすると、庭からぎょぇ————————–!!! という長い絶叫が聞こえてきたため、慌ててまた窓に駆け寄って様子を見るとなにやら子供たちがもめているようだ。いつもの兄弟喧嘩か。。
長女が次女をしばき、次女はギャーギャー騒ぎながらしきりに自分の指先を気にしている。
その雰囲気から次女が余計なことをしたに違いないことはだいたい予測がついたが改めて二人に何が起きたのかを確認してみた。
どうやら、ようやく落ち葉を拾い始めた次女の指先に、落ち葉にくっついていたナメクジらしきものが付着し、次女は大騒ぎしながらなんとそのナメクジを長女の洋服で拭いた、というのだ。
だから長女は「きったねーな!!馬鹿野郎!!」と次女をぶっ飛ばしたということだった。
うーーーん・・・それは・・・
やって良し。
長女にはやる理由があるし、次女にはやられる理由がある。
長女の不満
今回私はこの兄弟喧嘩を、人間たちを雲の上から見守る神様のようにしっかり観察していたため、次女が余計なことをしたのだろうと冷静に長女に話を聞いたのだが、普段よくある兄弟喧嘩は親のいないところで二人がもめて次女がぶっ飛ばされ、泣きながら言いつけにくるというパターンが大多数である。
「〇〇(長女)が目をぶったー (;*Д*) 」だの、「〇〇(長女)に背中を殴られた― ( ꒪Д꒪)ノ」と号泣しながら登場すると、つい「ちょっと!そんなことしたらあぶないでしょーがぁ!!!怒」と話しも聞かず長女を怒ってしまうことがある。
たたくのはもちろん悪いことだけど、長女は原因をもってきた当本人の妹ばかり庇われ自分が一方的に怒られることに日々不満を募らせているらしい。
「お前いつもそうやって悪いことしてやられてるのに、人のせいにして言いつけにきてるんだな?」という、パパの次女への言葉を聞き、長女は「やっと私の気持ちわかってくれた??」と、成仏したような表情を浮かべていた。
いつの時代も損してる?“上の子”
思えば、私の小さい頃の話を母がするとき必ず言われるのが
「あなたは必ず、“あたしがなんにもしてないのにお兄ちゃんが急に思いっきりぶったー”と言いつけにきた」である。
しかも兄弟喧嘩がひと段落し、すでに違う遊びをしていたにも関わらず、父が帰宅するともう一度目の下に水をつけて現在進行形で涙を流している風に装い、兄の極悪非道っぷりを父にアピールしていたとのこと。もはや魔性の幼児である。
そしてまんまと騙された父から、兄が大目玉を食らう。
普通なら父も、9歳も年の離れた兄が小さい妹を急に思いっきりたたくわけがないと気づくだろうが、私の小細工と演出が効いていたのだろうか?もしくは父の洞察力が足りな過ぎたのか・・。
兄はこの時の恨みが忘れられないらしく、35年ほど経過した今でも度々兄この話をグチっている。
いつだって迷惑をかけた方はそんな事実きれいさっぱり忘れ去り、迷惑をかけられた方は一生忘れないものだ。
そしておそらくうちの子供たちも。。。
魔性の幼児の演出に常に騙されていた私の父の二の舞を踏まないように、兄弟喧嘩勃発の際は親として中立の立場で子供たちの話を聞いてあげなくてはならない。と改めて考えた一件である。