先日、有名な女優さんとイケメン俳優夫婦の別居騒動がワイドショーやネットニュースで大々的に報じられた。
夫であるイケメン俳優は、美しい女優の奥様と子供たちがいるにも関わらず、
共演した別の若い女優さんと不倫関係に及んでいたということで
報道を目にした世間の奥様方から大バッシングを受けることとなった。
自分が妊娠中で大変な時に夫が不倫に走っていたら・・・と我がことに重ね合わせて想像し、当事者以上の勢いで怒りに震えている奥様方も見受けられたほどだ。
私自身も、妻という立場で仕事をしながら子育てをする大変さは重々身に染みており
世間の奥様方と同様、この報道を聞いて
「子供が小さくて大変な時に、仕事と子育ての両立に奔走している奥様を差し置いて若いだけがとりえの共演女優に手を出すとは・・・!許すまじ!」
と自分事のように怒りを覚えたのであった。
いや、実際は不倫相手の共演女優は「若いだけがとりえ」というわけではないかもしれないのだが、とにかく妻より若い女性と不倫関係になった旦那というのは、もう何が何でも世間の奥様方から見れば「若いだけがとりえの女に走った不倫夫」という烙印を押されることになるから不思議である。
そんな有名な女優とイケメン俳優夫婦の別居騒動で思い出したのが、私が20代のころ
ものすごく美人な私の友達の彼氏が、それほどでもない女の人と浮気して大揉めした時の話である。
なぜ、こんなにきれいな彼女がいるのに、あえてそれほどでもない女に手を出すのか?
甚だ疑問に感じた私は、うちの主人にそんな男性の心理状況について尋ねてみた。
すると主人は「高級ステーキばかり食べていると、たまにはミートボールも食べたくなるものだ」と、哲学者ばりの持論を展開しだした。
なにっ?!男ってそういうものなのか・・・。
いや、待てよ。
「それじゃあアナタもたまにはミートボールを食べたいなどと思うのかね?」と問い詰めると主人は、「おれは普段からミートボールしか食ってないから大丈夫だ」と自信たっぷりに言い放った。
ああ、そうかそうか。
そりゃそうだ。私といったら“高級ステーキ”じゃないし、どっちかと言えばミートボールだよね!
良かった良かった!!
ってオイコラ!
誰がお手頃価格の、庶民のお弁当の定番おかずだ。誰が国産安心のミートボールだ!!(怒)
失敬にもほどがある。
それにしても結婚後もいつまでもかっこいい男性というのも困りものである。イケメン俳優などと結婚するのも、うらやましい反面、奥様は不安も尽きないだろう。
まわりの女性たちも放っておかないだろうし、男性の方がその気になればすぐに浮気や不倫に発展してしまう危険性をはらんでいる。
そう考えると、うちの主人のように寝室から鳥小屋のニオイのような加齢臭を漂わせているくらいの方がちょうど良いのかもしれない。
40代になり主人の寝室の鳥小屋臭は悪化の一途をたどっており、ひどい時は寝室でぬか漬けでも始めたのかと疑念をいだくほどの臭気を発している。
私は寝室に入るたび「くっさ!!!!!!ベッドの下にぬか床でも隠してんじゃないの!!!」などとギャーギャー悪態をつきながら窓を開けたりするものだが逆に鳥小屋のような臭気も出さず、いつまでも良い香りでイケメンでモテモテ・・・という夫よりは「まったくアンタは臭いんだから!!!(怒)」などとブツブツ言って窓をあけるくらいの方が、妻としても気苦労は軽減されるのかも知れない。
夫の方も、万が一、他の女性とお近づきになりそうなチャンスに直面しても
「ハッ!!・・・俺って臭いんだった!!特に夜間に色々分泌されるんだった」などと我に返り、道を踏み外す若干の足かせにもなることだろう。
そんなことを考えていると、ふと思うことがある。
かつてかっこよかったご主人が、今となっては頭は禿げるわ腹は出るわ、加齢臭はひどいわ・・・などと残念な進化をとげたことを嘆く奥様方をよく見かけるが、それではある日突然、私たち世代のイケメン代表、キムタクが自分の旦那様と入れ替わったら・・・こちらサイドも対応できるのだろうか?ということだ。
キムタクのいる生活をイメージしてみる
まず当たり前だが、キムタクが旦那様だということは、当然毎日キムタクが家に帰ってくるわけだ。そんなキムタクがいる生活を具体的にイメージしてみる。
まず、キムタクが自宅にいるとなると私はメイクを落とすことができない。夜はキムタクが寝た後にメイクを落とし、朝はキムタクが起きる前にメイクをしなければならない。
土曜の朝にたっぷり寝坊してボサボサチリチリヘアのドすっぴんで目をこすり、大あくびをしながら登場することなど許されない。食べ過ぎて腹をさすりながらソファにひっくりかえるなんてもってのほかだ。
いや、その前にキムタクが家にいるならいつも着ている暖かさ重視で色気皆無のボロいパジャマをまず買い変えなくては・・
それに、キムタクが家にいるとなるとトイレで大きい方もできない。過敏性腸症候群(IBS)で、毎度毎度盛大にお腹を下している私にとって、それは死活問題である。
自宅ではもちろんのことだが、休日に一緒にドライブなどに出かけた日には、突然の腹痛に襲われ、お腹の急降下のピンチに追い詰められても「う・・漏れるぅ・・・(涙)」などとは口が裂けても言えない。
なんの説明もできないまま、とにかく車を停めて!!!などと絶叫し、完全に停車し切る前にドアを開けて飛び出していき、後ろから「ちょ、待てよ!」などと呼びかけるキムタクを振り切り、しばらく行方をくらますという不審な行動に走らざるを得ない。考えただけで心が痛む。
だけどキムタクに向かって「ウ〇コ漏れそう」などと言うくらいなら死んだほうがマシである。
しかもキムタクの奥さんだということは自分の美容やスタイル維持などにもさらに気合を入れなくてはならない。あんなイケメンが旦那様ならいつどこから綺麗な若い女性が登場して妻である自分に宣戦布告してくるかもわからないのだ。スイーツの食べ放題などにうつつを抜かしている場合ではない。
自宅にキムタクがいることにより、ただでさえ忙しい毎日がますます慌ただしくなり、睡眠時間が減り、くつろげない、落ち着かない、安らげない、下せない・・・
しまいにはこの気を張った生活に疲労困憊し、メンタルもすり減り、耐えきれなくなり、ついにはこの結婚生活に終止符を打つべくやむなく自ら別れを切り出すことになるだろう。天下のキムタクに、私ごときが別れを切り出すのだ。
それくらいキムタクとの生活には耐え難い緊張感が溢れていた。(※あくまでも妄想)
旦那なんていうのは、部屋から鳥小屋臭やぬか漬け臭を漂わせ、ちょっと腹が出ているくらいでちょうど良いのである。
世の奥様方も、「旦那がキムタクならやる気でるのに」などとぼやく前に、ぜひリアルにキムタクとの結婚生活をシュミレーションしてみていただきたい。今の生活がどんなにくつろげて心安らぐものであるかを実感できるだろう。
出会ったこともなければ、もちろんプロポーズされたこともない妄想でのキムタクとの結婚生活に勝手にピリオドを打ち、寝室に鳥小屋臭を漂わせるうちの主人に若干の感謝すら覚える私なのであった。