エッセイ

運勢が悪い日 過ごし方を間違い、コテンパンにされる

サーフィン ロングボード 鎌倉

日頃、何気なく生活している中で、今日は日が悪いな。と思う事がある。
私の中では『運気が悪いな』という意味だ。

具体的に言うと、運転中に急に脇道から車が飛び出してきてヒヤッとすることが2回くらい続き、
その後、買い物で並んだレジが新人さんで操作を間違ってしまいすごく時間がかかるとか
ご飯食べに行ったら店員さんが喧嘩売ってるのかと思うほど超感じ悪いとか、
なんで今日に限ってこんな事が続くの?と、良くない事が凝縮する日があるのだ。

そんな時、「今日は日が悪いぞ。気をつけよう。」とひそかに気を引き締める私がいる。
そしてそんな日は月一ペースでわりとコンスタントにやってくる気がする。

つい先日、サーフィンに行ったのがまさにそんな日だった。

お天気もとても良く、気持ちいい秋晴れだった。
私はいつも通りに海に入って、波待ちをしていた。

今日は波が小さいなあ。
そんなことを考えながらサーフボードにまたがり沖を眺めていると
私のいる位置から15メートルほど離れた場所でカー!ぺッ!という声が聞こえた。

え?と思いふり返ると、40代くらいのサーファーの男性が海にカーッ!ぺッ!とタンを吐いている。
その時は、あらら、パーリングして水でも飲んじゃったのかな~などと思い、特に気にも止めず波待ちを続けた。

すると、間髪入れず再びカーッ!ぺッ!

あれ?まただ・・・。

カーッ!ぺッ!

カーッ!ぺッ!

カーッ!ぺッ!

カーッ!ぺッ!

カーッ!ぺッ!

イヤイヤイヤイヤイヤイヤ・・・・・・・・!!

アナタ、海にどんだけタン吐くのさ。。
風邪引いてるなら今日はやめときなよ・・・。

彼の永遠に続くカーッ!ぺッ!が耳から離れない。。気になる。。

しかもカーッ!ぺッ!の彼は風邪をひいて体調が悪そうなのにもかかわらず
動きが物凄く俊敏でキビキビしているのだ。

気づくとパドリングでキビキビと移動し、隙があれば波に乗り、
乗り終わるとせき込みながらパドリングでキビキビと沖に向かい
30秒に一回くらい、カーッ!ぺッ!とタンを吐いている。

気になる。。

キビキビ動いてタンを吐く・・・
キビキビ動いてタンを吐く・・・
キビキビ動いてタンを吐く・・・

いや、本当に気になる!!!(涙)

知らず知らず、頭の中で彼のキビキビの動きとタンがリズムになってきてきてしまった。

キビ・・・タン

キビキビ・・・タン


参考動画:水曜日のカンパネラ【桃太郎

あぁ、もうダメだ!!!!

もう彼のそばにはいられない・・。
本当はそこにいたかったのだが、何しろ頭の中のリズムと、彼のキビキビタンはこれ以上耐え難い。

仕方なく、もう少しキビキビタンから離れて乗ることにしたのだった。

うんちくチラ見オトコの出現

キビキビタンから離れた場所に移動し何本か乗ると、再び良い波がぱったりと途切れてしまった。

今日はほんとうに波が小さいなぁ。

そう思いサーフボードにまたがって、少しぼーっとしていると、
ボディボードを持ったお花坊風の連れの女性に、何やらうんちくを語る中年男性の鼻につく自慢気な声が耳に入ってきた。

『あの程度のことは誰だってできるんだよ』
『別にすごくもなんともないから』
『大したテクニックじゃないよ』

どうやら、連れの女性が他のサーファーのことを誉めたのが気に入らないようだった。
しきりに、他のサーファー達をこき下ろしている。

うわぁ・・・・。なんだこいつ・・。

お花坊はボディボードの初心者らしく、このうんちく中年男性の言うことを素直に聞いている。

しかもこのうんちく中年男性、偉そうにうんちくを語りながら、『俺すげーだろ』ばりに、ちらっと私の方を見るのだ。

このうんちくチラ見オトコめ・・。うっとうしいにもほどがある・・。

さっきから偉そうにサーフテクニックについて語っているが、あんたサーフボード持ってきてないじゃないか。

なんか怪しい。本当にできるのか?できそうな顔してないけど。(失礼)

聞かないようにしようとも、彼の妙な高音のうんちくが嫌でも耳に入ってくる。

その高音ボイスと偉そうなうんちくに耐えられなくなり、そっと彼らから距離をあけようとすると、
『あーあ、しかし安全な海だな、ここは。ここでサーフィンするくらいなら、〇〇の△△海岸の方が相当いいよ』
と再び大声でうんちくを言っているのが聞こえてきた。

さっきから、このうんちく男が、うんちくの最後にちらっと私の方を見ることに非常に腹が立っていたのだが、最終的にはお花坊ではなく完全に私の方を向いてうんちくを語っているではないか。

しッしッ あっち向け!

とにかくこの上なく不快なうんちくチラ見オトコからできるだけ離れよう、と
パドリングで移動して別の場所で波を待つことにした。
うんちくチラ見オトコから無事に距離を置き、ほっとしたのもつかの間・・

今度は左後ろからオエェェェェェェェェ!!!と、夜道の酔っぱらいが発するのと同じ音声が聞こえてくるではないか。

ビク!としてふり返ると、ロン毛の中年男性がサーフボードの上でしきりにこの音声を発している。

そしてこのロン毛中年、波に1本乗るたびオエェェェェェェェェ!!!と絶叫しながら沖に戻ってくるのだ。

ホントにその音が気になるし、いつか本当にキラキラをぶちまけるのではないかと気が気でない。

今日は波もあまりよくないわ、キビタンうんちくチラ見オトコ
そしてオエェェェェェェェェ!!!ロン毛のおかげでなんだか精神的に疲労してしまった。

なんて日だ!

自然に小峠のキメ台詞が浮かんでくる。
仕方ないので、一旦上がって休憩することにした。

本日一番の強敵現る

サーフボードを持って自分の荷物を置いてある場所まで歩いていると
波打ち際に、ものすごい大音量でオペラを歌う赤い海パンを履いた50代くらいの男性が立っていた。

ガリガリに痩せたこの男性、よれよれの赤い海パン一丁で海に向かい、信じられないほどのものすごい声量で熱唱している。

まわりにいる人たちも驚いているようだ。

私はサッと目をそらすと、そそくさとボードを抱え、自分の荷物の元に戻り座ってジュースを飲み始めた。

すると、何を血迷ったのか、波打ち際で熱唱していたこの男性が回れ右をし、なんと砂浜の私のほうへ向かって歌いながら歩いてくるではないか。

やばい。
このパターンは・・。

この広い砂浜でこんなにたくさん人がいるというのに、
まさか私・・・この海パンオペラにロックオンされてないか?

心臓が嫌なざわつき方をしている。

私がこのようなシチュエーションで、高確率で「選ばれし者」となる傾向にあることは
これまでの人生でも度々立証されている。

同時に休憩に上がっていた主人も事態を察し、横から「目を合わすな、目を合わすな」と必死にささやいている。

「うん・・。」

私は海パンオペラと絶対に目が合わないよう宙を見つめ、うつろな表情でゴクゴクとジュースを喉に流し込んだ。

背中に緊張が走る。

しばらく宙を見つめているうちに、徐々にオペラは聞こえなくなり砂浜には静寂が戻ったのだった。

良かった・・・。

ホントになんだか、今日はおかしな日だなぁ・・・。

ほっとして何気なく横に目を向けると
さっきの海パンオペラが私のすぐ隣に横たわって目をつぶっているではないか!!

おいーーー!(涙)
そこで寝てんのかい•(((;꒪ꈊ꒪;))):

顎が外れそうになった。

ま、まあ・・・寝てるのなら・・大丈夫だろう・・。

私は気を取り直すと再びサーフボードを抱えて海に戻った。
再度、ボードにまたがり波待ちの体勢に入ると、案の定、海パンオペラも私に呼ばれたかのように海にカムバックしてきた。

先ほどは波打ち際で立って歌っていた海パンオペラだが、なんと今回はじゃぶじゃぶと海に入ってきて腰くらいまで海につかり、沖に向かって再度、大音量でオペラを歌いだしたのだった。

海で波待ちしているサーファーたちの中で、最も私に近い場所に立ち、
恐ろしいほどの声量でオペラを歌い続ける。

「やだな」

非常にシンプルかつ率直な感想で心がいっぱいになった。

何とかこの歌声で集中力をそがれぬよう、沖の方を向いて一心に波を見つめた。

その時、遠くからイイ感じの波が向かってくるのが確認できたのだ。
今日は波が悪く、あまり乗れていない。

最後はキメていくぞ!
そう気合を入れると私は一心にパドリングを始めた。

その時だった。

海パンオペラは私がパドリングを始めるやいなや、私の方に向かって両手を広げ
先ほどまでの声量をさらにマックスまでの大音量にアップし、熱唱しだしたのだ。

何年か前、アメリカのオーディション番組で一躍有名になったポールポッツさんの歌っていたトゥーランドットではないか・・。

参考動画:Paul Potts sings Nessun Dorma

集中できない・・・。
本当に・・もう本当にやめてくれ!!

その後も、今だ!とパドリングを始めた途端に声量マックスで熱唱、のパターンを何度も何度もやり続け、私を心身共に疲労困憊に追い込んでくれたのだった。

今日はもうダメだ・・。

しょんぼりと肩を落とした私は、とうとうその日のサーフィンを諦め、海から上がることにした。

サーフボードを抱えて砂浜に向かうと、今度は
ブーメランパンツ一丁で折りたたみのロードバイクを担いだ男性が、
これでもかとばかりに股間を強調しながら波打ち際に立ち尽くしている姿が視界に止まった。

・・・てゆうか、そのロードバイク、フェイクだろ?
YOUの目的、ブーメランパンツで股間を強調、だろぅ・・?

あまりにも色々なことが重なったその日、すっかり心がすさみ切った私は、この浜にいる人間すべてに不信感を抱きつつ、その日のサーフィンを終えることとなった。

『日が悪い』

そうつぶやきながら、その日海をあとにした私であった。


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ABOUT ME
富岡紗和子
神奈川県湘南在住、占い師(帝王命術売占い鑑定師・四柱推命鑑定師)ラジオパーソナリティ・エッセイ作家・法人役員(役員暦24年)の富岡紗和子です。 現在、二人の娘を持つ母でありサーフィンとビールをこよなく愛するアラフィフ女子です♪ ⇒ ⇒ 詳しいプロフィールはこちら

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