さわこの観察日記

30代、40代のおばさん化について考えてみた

数年前の、気持ちよく晴れてとても暑い夏の日のことだった。

その日は主人とツーリングに出かけ、田舎道を気持ちよく走っていたのだが、信号待ちをしている間、何となく信号脇のお宅に目をやると、ひとりのお婆さんがエプロン姿でお庭の植木に水やりをしているのが見えた。

なんとなく眺めていたら、お婆さんはじょうろの中の水が無くなったのか回れ右をして水道の方に向かっていった。その瞬間、私は驚きで言葉を失った。

なんとお婆さんのうしろ姿は生まれてきたままの状態、つまり裸にエプロン姿で、自宅の庭のお手入れをしていたのだ。

裸にエプロン、前から見るとなんとなくワンピースを着用しているように見えなくもないが後ろから見るとただの裸である。

なんてことだ・・・

裸にエプロンなんて、新婚の奥様の専売特許だと思っていたが、まさかその姿で外へ出ても良かっただなんて・・・。(よくない)

それで思い出したのが、以前たまたま入った整体のお店で担当になった若い男の子が言っていた、『お友達の家に遊びに行ったら、お友達のおばあちゃんが上半身裸で、猫で胸を隠して出迎えてくれた』という話だ。

なんとなく、上半身裸のまんまで出迎えられるよりも衝撃は少ない感じがするが、よかれと思って猫で胸を隠している姿は、逆に後々まで引きずる強いインパクトを残してしまっていたようだ。

しかし、裸にエプロンのお婆さんも、猫ブラジャーのお婆さんも20代の頃からまさかそんないでたちで平気で人前にでていたわけではあるまい。

彼女たちにだって女性としての意識をはっきり持っていた若かりし時代があったはずだ。(裸にエプロンだって、私を驚かす以外の違った効力を発揮していた時代があったに違いない)

そう考えると、女性はいつから恥じらいがなくなってしまい、おばさん化してしまうのかものすごく気になってきた。

いつから始まる?おばさんライフ

思い起こせば20才そこそこの私は、異常なまでの美意識の塊であった。スーパーでネギを買っても、ネギが飛び出した状態のスーパーの袋を持っている自分のビジュアルに耐えられずバキッと折って外から見えない状態にしてから袋に入れたりしていた。

今考えれば誰もネギが飛び出したスーパーの袋なんて気にしていないだろうと思うのだがとにかく自分の中でおばさん風と判断したことは徹底的にさけていた。

また、体形をかくすためにゆったりしたトップスを着るなんておばさんの極み!という考えのもと、毎日2回は体重計に乗り体重を確認、スポーツジムにもせっせと通い、体型維持にストイックになっていた。お給料は洋服と美容につぎ込み、毎月何冊ものファッション雑誌を買って読みあさった。

そんな私も結婚し、30代になる頃にはスーパーの袋から見えるネギなんて全く気にしなくなったし、体重計にもめったに乗らないという次元にまでに自分に甘くなってきたのだが、それでも私は年齢を重ねても子供を産んでも、絶対におばさんぽいおばさんにはならないぞ!という固い決意だけは胸に抱いていた。

そんなある日だった。独身の友達が我が家に遊びにきてくれ、自宅に何も食べ物がなかったため一緒にスーパーに買い物に行こう、という話になり、2人でスーパーに出向いた。するとそこのスーパーではその日、揚げ物の詰め放題なるものが開催されていた。

詰め放題のルールは、専用のビニールパックに詰められるだけ詰めて輪ゴムをかけてレジにもっていくというものであった。私はさっそく専用のパックを手に取ると配置に気をつけながらせっせと詰め始めた。

ビニールパックの上に揚げ物が山盛りになるまで積み上げ、ふたが半分しか閉まらない状態になったが、そこを無理に輪ゴムで止める。我ながら、なかなかのおばさんぷりである。

鼻息荒く唐揚げと格闘していると、『これくらいかな』という友達が聞こえたためふり返った。すると友達は、普通のお総菜コーナーに並んでるお惣菜くらいの量しか取っておらず、キレイに蓋をして輪ゴムをかけようとしているではないか!

あまーーーーーーーーーい!!!!!!(怒)

私は友達のビニールパックを取り上げ、何かに取りつかれたかのように鳥の唐揚げを山積みにした。そして鳥の唐揚げの隙間に、ワカサギの唐揚げを黒ひげ危機一髪のようにこれでもかと突き刺す。

友達は横から、もういいんじゃない?もう閉まらないんじゃないの?とオロオロしていた。

お会計を済ませスーパーを出る時、一言、「sawachin、強くなったね。。」と言われハッとした。その、「強くなったね」という言葉のオブラートを100枚くらい剥がすと、「sawachin、おばさんになったね」が隠れているに違いない。。。10代のころから私を知っている親友がしみじみ言った言葉・・グサッ!と突き刺さった。

だが私はグサッと突き刺さった言葉のナイフをエイッ!と引き抜くと、トリャー!!と遠くに投げ飛ばした。

そして、『いいんです!』と川平慈英より力強く自分に言い聞かせたのだった。

恥ずかしいの前に、揚げ物たくさんとったどー!!の達成感の方が圧倒的に勝利してしまったのだ。

私は着々とおばさんぽいおばさんに向かっている・・・。

女性として外見のこだわりを捨てていない30代40代の盲点は内面のおばさん化だと気づいた。

人間、年を重ねると図々しくなっていくものなのか・・。

このおばさんへの第一歩を踏み出してしまっている以上、自分が30年後“裸にエプロンお婆さん”猫ブラお婆さん”にならないという確証はない。

おばさんへの道・・・初めの一歩

20代前半ではビニール袋から見えるネギすら許せなかったのに、アラフォーの今はたとえネギが半分くらい袋から飛び出していても平気になった。

今や、フランスパンの入った紙袋を抱えるフランス人のように、泥付きネギの袋を抱えて表参道を歩きなさいと言われたとしても『はいよ』と軽く引き受けるだろう。

であれば、『信じられないくらいダサいかっこでコンビニに行く』の最終進化系で、裸にエプロンで外に出て植木に水やりをする、

また、『ダルダルのタンクトップ1枚でぐうたらと休日を過ごす』の最終進化系で、突然の来客をとりあえず猫で胸を隠して迎える、まで

長い長い年月をかけて進化を遂げることは十分にあり得るのだ。

怖い。。

すでに若干の(いや、まぁまぁの)おばさん化は否定できないが、せめて若い人から好奇の目で見られるような、ぶっ飛んだ人材にだけはならないよう注意しなければ。。

そんなことをぼんやり考える、今日この頃である。


ABOUT ME
富岡紗和子
神奈川県湘南在住、占い師(帝王命術売占い鑑定師・四柱推命鑑定師)ラジオパーソナリティ・エッセイ作家・法人役員(役員暦24年)の富岡紗和子です。 現在、二人の娘を持つ母でありサーフィンとビールをこよなく愛するアラフィフ女子です♪ ⇒ ⇒ 詳しいプロフィールはこちら

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