海を眺めながら考える。大地真央はなぜあんなに美しいんだろう。
まるで時の流れが止まっているかのようだ。
この事を以前に人に話した時、「大地真央の特集を見たことあるけど寝る時にも凄いゴージャスな格好をしていた」という貴重な証言を得た。
そうか、大地真央と私の違いは、パジャマだったのか‥‥(違)
ヒートテックにホッカイロを貼り、その上にGUのモコモコパジャマを重ねるという硬派なナイトスタイルを長年貫いているからこそ
私はこうなり、アチラはああなるのだ。
まずそこを改善しなければいけない。
思考がそちらに暴走しかけたとき、ふと思い出した。
以前にもこれと全く同じ流れで、寝る時に素敵な格好をしようと思いたち、寝る時の素敵な格好についての情報が乏しいゆえ、ひとまずバスローブを着て寝てみようという安易な行動に出た事があったのだ。
白いバスローブに身を包んだ私は普段はビールしかのまないくせに、なんとなく赤ワインなどをグラスに入れ回してみたりしたのち、満足してベッドに入った。
事件はその後に起きた。
夜中におトイレに起きた際、なんとなくリビングに置いてある大きな姿見の鏡をチラッと見ると、
そこには白い着物を着た不幸そうな顔をした女の姿があり、恨めしそうな顔で私をジトッと見つめていたのだ。
ギャー
寝ぼけていた私は一気に目が覚め、悲鳴と共に腰を抜かして後ろに倒れ込んだ。
出た幽霊が出た
お帰りください
成仏してください
ごめんなさい、
ごめんなさい
パニックになりながらも恐る恐るもう一度薄目で鏡を見ると
なんと不幸そうな顔の白い着物の女も腰を抜かして後ろにへたり込んでいるではないか。
あ、‥‥あれ
幽霊も倒れてる‥
ってこの幽霊、私やないかい
バスローブを着て良い女になろうとした浅はかな私やないかい
チキショー!
すっぴんどんだけ不幸そうなんだよ
紛らわしい
馬鹿馬鹿しいことで無駄に心拍数を上げてしまった。
そしてこのバスローブ事件を起こしたのは20代の頃だ。
あれから〇〇年←きみまろ風
全く同じ思考を辿り、パジャマを変えれば良い女になれるのではないかという結論に辿り着いてしまった私は何の成長もなく、ただ年齢を重ねているだけではないか。
三つ子の魂、百まで‥‥
そんな言葉がよぎった、サタデーナイトであった。