先日、県の防災センターにて、災害時のトイレトレーニングが行われると聞き、足を運んでみた。
このステキなティアラ(?)を付けた男性は、
「いつもどんなときも排泄に自由であること、
すべての人が生きること」
を目指し活動する、チーム・トイレの自由代表の長谷川高士さん!
過敏性腸症候群(IBS)の私には、この堂々としたティアラ姿の長谷川さんが神に見えて仕方が無い(笑)。
長谷川さんの本業はトイレ専門店。“災害時には「トイレ問題」なるものがあり、間接的とはいえ、トイレが原因で命を落とす人がいる。”という事実を知り、災害時トイレ問題の解決に向けた活動を始められたそう。
今回は、災害時、自宅のトイレが断水などで水を流せなくなった事態を前提に、自宅のトイレに携帯トイレを設置するやり方を丁寧に教えていただいた。
携帯トイレをIBSに応用!?
長谷川さんによると、水洗トイレが使えない時に役立つのは携帯トイレ(=水を使わないトイレ)しかない。
自宅や公共施設で、水は流れないが便器があるという状況で携帯トイレを使うやり方は、先の記事に長谷川先生のレクチャー動画をアップしたので参考にしていただきたい。
関連記事;災害時のトイレ、備えないと命の危険にさらされる!?
今回は、災害時を前提に携帯トイレを使うやり方を教えていただいたが、私たち過敏性腸症候群IBSの患者は、毎日のように個人的にお腹の急降下という災害に見舞われているも同然の生活をしている。
だから私はこの携帯トイレを、IBSの人たちは日常で応用して使えるのではないかと考えた。
過敏性腸症候群の人たちにとって、一番困るのは外出時の腹痛(下痢)である。電車での移動やバス移動、渋滞に巻き込まれた時の車。。
過敏性腸症候群を患うお仲間たちなら、一度は上記のいずれかで死ぬ思いをしたことがあるはずだ。
いや一度といわず二度、三度死ぬ思いをして、今や外出恐怖症といった具合の方たちもいるだろう。
以前のブログにも書いているように、私もトイレに行けない状況下で例にもれず幾度となく、もはやこれまでか・・・!を経験してきた。
そしてドライブ中のお腹の急降下により、瀕死の重傷を負った経験のあるIBS患者の一人である。
IBSによる1年分のピンチをギュッと凝縮、恐怖のなかみなと事件
携帯トイレを使用するにあたり、やはり下着を下ろして排泄しなくてはいけないため、現実問題、電車での移動やバス移動中に携帯トイレを使用することは難しいと思われる。
ただ、マイカーでの移動中であれば携帯トイレはとても役に立つのではないだろうか。
IBS的 携帯トイレの利用方法
以前、過敏性腸症候群のお仲間で、SNSに、マイカーを改造してトイレを設置したいと投稿している方がいらっしゃった。
マイカーをトイレ付きに改造することができたらそれは何より素晴らしいが、実際のところマイカーの車種や金銭面の問題で、そこまでできる人も少ないのではないだろうか。
それであれば、手軽に性能のよい携帯トイレをスタンバイしておけば、それはもうマイカーにトイレが設置されているのと同様の状態となるわけだ。
何を用意すればいいのか?
少し前に、災害時のトイレについて考える機会があり、ネット通販で携帯トイレについて調べてみていたのだが、その時は携帯トイレとは一体どんなものなのか、そして一体どんな使い方をしたら良いものかわからず、そのまま購入せずにPCを閉じてしまった。だが今回、携帯トイレのレクチャーを受けてみると仕組みは実に簡単であった。
先の記事にも書いたのだが、携帯トイレは凝固剤+ビニール袋の組み合わせで成立する。凝固剤だけでもビニール袋だけでも成り立たない。
簡単な話、この2点セットがあればもうそれはトイレなのだ!
ネット通販では、組み立て式の便座や段ボール製の便座なども販売されている。
自宅や公共施設で、“水は流れないが便器がある”という状況で携帯トイレを使う場合は、
便器内に携帯トイレ(ビニール袋)を設置できるため、便座を別に用意する必要は無いが
もし車内などで携帯トイレを使用する場合は、ビニール袋を持って中に直接排泄・・・というのはやりずらいので(切羽詰まったらやるけどw)
備えておくならば高さが低めの段ボール便座などが便利なのではないだろうか。(高さがある便座ではハイエースのような車種以外、頭が天井にぶつかり座れない可能性がある)
調べたところ、アマゾンなどで高さ16cmという低い便座の簡易段ボールトイレも販売されていた。ここにビニール袋をセットすれば完璧だ。
携帯トイレの種類
ホームセンターやネット通販で、様々な携帯トイレが販売されているため『これは小用?大用?』と非常に迷うのだが、長谷川さんによると基本的にはどちらにも使えるものがほとんどらしい。
ただ、私の考えでは入れ物が透明で内容物がスケルトンのタイプは、人間としての尊厳の問題で大用としては手を出しずらいように思う。
凝固剤は、袋を破らずそのままビニール袋に入れ、その上に排泄すると外袋が溶けだし排泄物を凝固させるタイプと、袋を破って中の凝固剤を出して使用するタイプがある。
種類がありすぎて迷うところだが、長谷川さんによると大便用におすすめなのは
“ほっ!トイレタブレット”という商品とのこと。こちらは袋を破って中の凝固剤(タブレット)をビニールに出し、そこに排便するタイプ。
殺菌力があるため、においや腐敗をおさえる効果が高いそうで、通常は凝固させて数日たつともとに戻ってしまう便の臭気を1か月も抑える効果があるとのこと。これは災害時にゴミ収集が遅れて、長く排泄物を保管しなければならない時にも非常に心強い。
参考:株式会社 エクセルシアホームページ
実際に車内で携帯トイレを使わないとしても、『万が一、渋滞に巻き込まれても大丈夫』という安心感を得られるだけでもIBSの方たちが携帯トイレを備えることは十分に価値があるのではないだろうか。
ホームセンターの防災コーナーなどでも携帯トイレを取り扱っているので、ぜひ一度手に取ってみていただきたい。
トイレの自由 人生の自由
今回携帯トイレの使い方のレクチャーの後、長谷川さんに少しだけお話をお伺いすることができた。長谷川さんは災害時の携帯トイレレクチャーのほか、三重県の方でIBSの方たちの支援も行っておられるそう。
だからか・・・。あのステキなティアラが神々しく光り輝いていた(ように見えた)理由は・・。
災害時、トイレのストレスが原因となり命を落とす人がいる人がいると学び、過敏性腸症候群の人たちが毎日トイレの心配を抱えて生きているということは、それだけで日ごろから強いストレスと戦い続けているということだと実感した。
現実に被災地の方の多くがそうであったように、トイレの不自由による心労が原因で精神を病んでしまったり、心臓に負担をかけてしまうことさえあるのだ。
たかがトイレ。されどトイレ!
過敏性腸症候群の人たちがトイレの心配をせずにもっと自由に生きることができたらいいな、と改めて思ったのだった。